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2013年5月11日 (土)

田原総一朗「憲法の良し悪しと96条の改正は別の問題だ」

色つけは私です。

ハフポストソーシャルニュースより

憲法の良し悪しと96条の改正は別の問題だ

田原総一朗  投稿日 2013年05月07日

憲法改正が来たるべき参院選の大きな争点になりそうだ。

安倍晋三首相の自民党は、とくに憲法改正に関する手続きを定めた96条の改正を意気込んでいる。

96条では、衆参両院の総議員数の3分の2以上の賛成がなければ改正を発議できず、そのうえで国民投票を行うとなっているのである。それを安倍自民党は国会議員の過半数で発議できるように改めようとしているのだ。つまり憲法改正をやりやすくしようとしているのである。

たしかに、現在の憲法は「1946年に」米軍の占領下で、日本国が主権を持たないままにつくられたもので、占領軍の押しつけの面が少なくない。とくに九条は、あきらかに非武装状態を前提として制定されたものであった。だから自衛隊の存在自体が曖昧だともいえる。

その意味では、私はいわゆる護憲論者ではない。

当時は環境問題などはなく、地方分権の声もほとんどなかった。それに9条の2項は変えるべきだと捉えている。

だが、だからといって96条を過半数に改めて、憲法改正をしやすくするという発想には、疑義を覚えざるを得ない。

自民党には改正したい箇所が少なからずあり、だからこそ改正しやすい条項に改めたいのであろうが、将来自民党と大きく異なる政党が政権について、簡単に憲法を変えられてもよいと捉えているのだろうか。

問題のある現憲法を、かくも長い間変えられなかったのは、誤りに違いない悲惨な戦争の反省、そして再びあのような愚かな戦争をやってはいけないという強い拒否反応を国民の多くが示していて、自民党の改憲が戦前への逆行と感じられたからである。

だが、現在では憲法の欠陥に多くの国民がきづいていて、自民党、維新の会、みんなの党はもちろん、民主党、公明党も憲法改正には反対でない。ただし、民主党、公明党、そしてみんなの党も96条を変えることには反対だ。少なからぬ国民も憲法改正には賛成だが、96条を変えるのには反対の意見が少なくない。

田原さんは、今の時点で96条を変えることには疑問を感じている。しかし、その張本人、安倍首相については、以前、以下のように書いている。

週刊朝日記事より

田原総一朗氏 自民と維新の憲法改正案に懸念 (更新 2012/12/ 9 11:30)  

 北方領土、竹島、尖閣諸島などの領土問題に端を発する新しいナショナリズムの潮流が相当な勢いで広まっている。ジャーナリストの田原総一朗氏は、安全保障を強化することに反対はしないとしながらも、安倍晋三総裁率いる自民党や石原慎太郎前都知事の日本維新の会が、憲法9条の第1項の中核を削除しようとしていることに懸念を抱く。

*  *  * 

 第1項にはこう書かれている。

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」  

 つまり、日本は憲法9条で、仮に外交交渉が行き詰まっても軍事力は発動しないと宣言している。自民党や維新の会は、だから領土問題で日本はなめられると捉えているのだろう。自民党は、憲法を改正して自衛隊を「国防軍」に名称を変えると政権公約に明記している。  

 かつて、キッシンジャー元米国務長官、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領、そして中曽根康弘元首相による公開討論会で、私は司会を務めた。その際、中曽根氏が「日本も憲法改正が必要な時期がきた」と発言した。しかし、キッシンジャー、ゴルバチョフ両氏は「日本は現在のままがよい。だからアジアが安定しているのだ」といった趣旨の返答をした。  

 両国とも、この姿勢はいまも基本的に変わりはない。その後、中国が軍事大国になって状況は変わったという見方もあるが、日本経済も中国経済もお互いを抜きにしてはやっていけない関係で、そんなことは中国が一番よくわかっている。  

 尖閣諸島の外交交渉は毅然(きぜん)とした態度で臨めばよい。両国の関係は、これ以上悪化のしようがないのである。

※週刊朝日 2012年12月14日号

田原総一朗公式ブログより

直接、会って話してわかった、安倍首相の「本音」

投稿日: 2013年3月18日

僕が司会をする番組「激論!クロスファイア」に、安倍晋三首相が出演した。
番組始まって以来の、現役首相の出演だ。しかも生放送である。

番組での安倍さんは、終始落ち着いていて、自信に満ちているようにみえた。
その自信の根底には、もちろん「アベノミクス」に市場が反応していることが挙げられるだろう。
首相に就任する前、1ドル70円台まで円高は進んでいた。
いま1ドル95円前後だ。株価も1万2千円を超えている。

ただし、安倍さんは、具体的な経済対策を実施したわけではない。
あくまでも、こういう経済対策をすると打ち出しただけだ。
言うまでもないことだが、これからが本当の勝負なのだ。

一方、普天間基地移転問題にも、自信を持っているように見えた。
担当大臣である山本一太さんが沖縄側と信頼関係を築いていて、
辺野古の埋立申請についての話し合いが、進んでいるからだろう。

そもそも民主党政権以前の自民党政権の時代には、沖縄の県知事や名護市長たちは、
普天間基地を辺野古へ移すことに賛成していた。
自民党の野中広務さんたちが、地元の人たちの理解を得るために、沖縄まで何度も足を運んだからだ。
まるで沖縄で暮らしているかのように、精力的に通っていたのだ。
ところが、民主党政権、とくに鳩山由紀夫元首相は、その関係を壊してしまった。
この壊れてしまった信頼関係を、安倍さんは再構築することができるのではないか。
安倍さんは、「信頼関係」という言葉を番組で何度も口にしていた。これも自信の表れなのだろう。

そして、憲法改正の問題である。
安倍さんは新憲法制定を目指してきた。
そのために、首相に就任したら、まず憲法第96条の改正から手をつけるだろうと言われてきた。
憲法を改正するためには、衆参でそれぞれ3分の2以上の国会議員の賛成が必要だ。
それを半数の賛成で改正できるようにする。
もちろん憲法第9条を変えるためだ。
ただし、安倍さんは、第9条第1項「戦争の放棄」の改正には反対である。

安倍さんは、右翼に近い考え方を持っている、と言われている。
けれど一方で、とてもバランスのよい考え方も持っている。
だから僕は、安倍さんに、「あなたは、保守本流だという意識を持ち、両足をしっかり大地につけ、右や左の現実味のない理想には目を向けるべきではない」と言っている。

この夏の参院選で自民党が勝利すれば、安倍さんは憲法改正に本格的に取り組むのではないか、という見方がある。
だが、番組で安倍さんと話をして、そんな心配はないと感じた。
参院選で勝利したとしても、安倍さんは経済再生といった目の前の問題解決のための政策を続けていくだろう、という印象を僕は持ったのだ。
これは日本にとってよいことだ。
そして安倍さんという人間は、この正しい判断ができる人だと僕は信じる。

いま、市場の反応がよいこともあって、安倍さんを批判したり、強くものを言う人はいない。だからこそ僕は、安倍さんに対して、いままで以上に厳しい意見を言い、どんどん発言していきたい、と思っている。

週刊朝日記事より

「憲法9条は変えるべきでない」田原総一朗氏が吠える理由 (更新 2013/3/28 07:00)

 自民党政権が憲法96条改定に動いている。ジャーナリストの田原総一朗氏は、96条を変更するのは現憲法を変えたいためと推測するが、現憲法のどの部分をどのように変えたいのか、その議論がなされていないことに首をかしげる。太平洋戦争を体験している身として、この問題についてこう確信していると言う。

*  *  * 

 自民党政権が何より変えたいのは、当然ながら憲法9条であろう。  

 保守本流の政治家、あるいは学者の多くは、現在の憲法は1946年、つまり日本が連合軍に占領され、まったく主権を失っていた時代に、占領軍にとって都合のよい形を押し付けられた。もっと具体的に言えば日本を弱体化し、二度と連合軍に対して戦いを挑めない国にした。それが憲法9条だというのである。

 憲法改定を主張する勢力が強く指摘するのは、日本の外交能力が劣っているということだ。外交技術もお粗末だが、それ以上に独立国として自立できておらず、アメリカの言いなりになっているというのである。  

 そこで、独立国として自立した外交を展開するには、憲法9条を改定して、日本以外のあらゆる国の憲法と同じように、外交交渉の最後の最後の手段としては国権の発動としての武力行使、つまり戦争ができる国にすべきだというのである。  

 この主張は一見、論理的に思える。だが、太平洋戦争を体験している私としては、憲法9条の1項は変えるべきではないと確信している。当時の軍の幹部、そして政府首脳の誰一人、太平洋戦争に勝てると予測していなかった。これは厳然たる事実である。昭和天皇も開戦に反対だった。  

 それにもかかわらず、負けることが必至の戦争を始めてしまったのである。この日本人の体質は、現在も変わっていない。だから少なくとも憲法9条は変えるべきではない。そこで、3月9日にBS朝日の「激論! クロスファイア」に出演した安倍晋三首相にそのことを強く言い、安倍首相は同調した。私は安倍首相を見直した。

※週刊朝日 2013年4月5日号

安倍首相を見直したとおっしゃっているが、安倍首相の本当にやりたいことは憲法9条の改定ではないのか?

安倍首相のパフォーマンスに騙されてはいけない

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